昨今,子どもたちの状況が大きく変化し,教育現場においても,これまで有効とされてきた指導方法,関わり方では対応できなくなっています。
こうした現状の中,多くの人が「もっと引き出しを増やさなきゃ」「この現状に対応できる新しい手法を探さなきゃ」と考えていらっしゃいます。
私は,そのような傾向に,少しだけ「待って」と申し上げています。
「アプローチの方法をたくさん学ぶこと(引き出しをたくさん持つこと)は決して悪いことではありません。でも,自宅に100も200も引き出しがある箪笥を思い浮かべてください。どこに何が入っているか分からなくて,かえって使いにくいのではないでしょうか」
現場に置き換えると,素晴らしい手法を入れたたくさんの引き出しから,いざ,手法を取り出そうとしても数が多すぎて,何を使ったらいいのか困ってしまうという状況です。実際にたくさんの知識やスキルをもっているのに,まったく現場で活用しきれていないという方もあります。
では,知識やスキルをちゃんと生かすためには,何が必要なのでしょうか?
その答えは,一言で言うと「多くの手法や指導方法という引き出しの根本を束ねる“本質的な原理原則”を理解すること」に他なりません。
この本では,これまで専門書で伝えられてこなかった
・公的な手引書を「読み解く」ための根底となる考え方
・養護教諭として現場で教育的実践をしていくための本質的な原理原則
をお伝えしています。
Chapter3では,原理原則を活用した具体的な子どもたちへの関わりの実践例も豊富にご紹介しました。
皆様の教育的実践のバイブルになれば幸いです。
2015年2月 /桑原 規歌