M先生(石川/高校国語教師)
○学ぶとは。考えるとは。
今回の振り返りで真っ先に挙げるのは「考えるとはこういうこと」を体で実感したということ。
そして、「思考を深める授業とは」を生徒の立場で体験できたという二点だ。
そういう意味で、「生徒の気持ちがわかった!」という言葉が思わず出た。
〈実感したことリスト〉
1 事前の宿題の存在。復習の大切さ、と同時に予習として頭に大きな余白を作ってからの学び。
2 一つのテーマを掘り下げる。そのためのワンクッション。
「思考のシフト」について全面に学ぶのではなく、
まず、その重要な側面(具体と抽象)について徹底的に考えた。
個人ワーク、ペアワーク、グループワークで落とし込む。
しかも、具体と抽象について日常の視点、思考の視点と整理にほぼ丸一日かけて取り組む。
そこまでしてからの本質の説明と活用の在り方。
ここまで一つのことをじっくりと、色々な側面から考えたことって今まで自分の生活であっただろうか。
今までは「逃げて」いた。
表面的な理解まではいくけれども、そこから先に「なんかまだある」というもやっと感やすっきりしない感に気づかぬふりが上手~くなっていました。
または、手をつけるけど、形として得られるまではいかなくて、そのうち「もや~」も含めて頭からすべてが消滅するパターンでした。
3 説明の難しさ。シンプルにすることの難しさ。
宿題で考えたこと。
しっかり本質を捉えたはずなのに、それをちゃんと伝えようとすればするほど、
ごちゃごちゃとしたものが混ざり始める。
自分の授業でも、教材研究したことすべてを伝えようとすると必ず失敗する。
そういえば先輩から「10の準備をして10のことを伝えようとしても無理。
1つのことを伝えるのに10の準備をしなさい。」と言われたことを思い出す。
4 時間を意識する。時間内に考える、時間を気にして話を回すということ。
自分がV寄り(最近はK気味)のせいなのか、これまで「時間」に対する認識が甘かった。
(ルーズという意味ではないが、「始めること」と「終わること」は意識するが、「所要時間」と「終えること」に焦点がいっていなかった)
5 「見えないもの」を「見える化」する。
ことば、概念の本質をつかむには、視覚、以上に体感覚が有効だということ。
ワークでは、このチームは頭で考えすぎ。ことばをそのまま説明しようとすると苦しくなる。
と言われた。そうか。宿題がそうだった。ネタが出てきても、説明していくうちにどんどんつらくなった。
Aがだめなら、KやV要素に目を向けるなど、自分が持っているものはもっと使える。無意識の枠を外すスイッチがほしい。
○現状とのつながり
ちょうど今、授業でトライしていることと重なることがあった。
古典でボリュームある文章を読み下している。
普段ならば文法事項の確認を中心にした展開なのだが、今回の教材はドラマティックな内容で、
口語訳も大事だが全体の流れを掴んでもらいたいと思い、グループで場面を分け、その山場をイラストにして発表させてみた。
活動が多いのでバタバタとするだろうという予想に反して、意外なほど集中してシートを作成し、
出来上がった資料を読み込む様子が見られた。
視覚に訴える効果は高く、内容に関する質問も増えた。
しかし、同じシートを使っている他の授業者からは、「時間がかかってしまい、説明を省かざるを得ない。やる意味があるのか。」と言われてしまい、
悶々としているタイミングでの受講だった。
だから「やっぱりすべて物事には意味がある~!」と嬉しくなった。
「イラスト思考」のこと、「具体と抽象」のこと、「理解=ことば+体験」のことなどがこの件とつながった。
いろいろ言われちゃったけど、「この授業の肝はここにある。生徒はこのワークで予習したことと話の全体像をつなげて考えることができる。」と確信。
最後までやり通そう。と決めた。
それにしても、いつもはこんな反応(こんなワーク使えない)をする先輩方ではない。
はて。そうか。これが思考シフトの一つなのかもしれない。
長いキャリアの中で、文法中心の授業の中で、イラスト化のワークはある意味授業を生徒に預けるような側面がある。
そして、時間のコントロールも必要。さらに、授業のゴールが「理解」より「時間内に単元を終わらせる」であれば、不安になるのも仕方がないのかもしれない。
では、私自身の思考シフトは?
授業者として。
担任として。
親として。
家族として。
職場の先輩として。
どうなりたいの?
何をゴールにして、どうするの?
たくさんの問いかけをもらった安曇野合宿であった。
難問である。
でも、ベーシック、アドバンスを経てのレジリエンス。
感想を書いてみてわかることがある。
以前なら、何からどうしていいのか分からず不安ばかりが先行した。
今は、大きなぶれを感じない自分がいる。問いでできた空白を埋め、実践し、
さらに落とし込むというルーティンを繰り返しながら答えを見つけようと思いました。
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